依田一義の経済情報41

マークイットが発表した10月の米製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は53.2となり、前月の51.5から上昇した。予想の51.5も上回り、2015年10月以来の高水準を付けた。

同指数は50が景気拡大と悪化の分岐点となる。

生産指数は55.3と、前月の52.5から上昇。新規受注指数は54.7と、前月の51.1から上昇した。景気指数と同様、ともに2015年10月以来の高水準となる。

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依田一義の経済情報40

ギリシャのチプラス首相は21日、債権団に対し、適切なタイミングで債務再編が行われなければ同国は果てしなく金融支援を受け続けることになると警告した。

首相はこの日の欧州連合(EU)首脳会議後、ユーロ圏最大の規模に膨らんでいるギリシャの債務をどのように削減することが可能か、年内に明らかにするよう債権団に要請。「これらの決定が適切な時期に行われない場合、金融支援プログラムはリスクに直面する」と述べ、「ギリシャが市場を通じた資金調達ができなければ、欧州債権団はこの先ずっと、ギリシャに融資をしなければならなくなるだろう」と語った。

債務再編については、12月のユーロ圏財務相会合でまとまった決定が下されることを楽観視していると述べた。

ギリシャは債務削減に加え、金融支援が終了する2018年までの市場へのアクセス復活を求めている。

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依田一義の経済情報39

日銀が24日発表した10月の主要銀行貸し出し動向アンケート調査によると、7~9月期の資金需要の強弱を示す指数(DI)は個人向けがプラス10と、7月の前回調査から4ポイント低下した。悪化は3四半期ぶり。日銀のマイナス金利政策導入後に増えた住宅ローンの借り換えが一服した。

一方、企業向けのDIはプラス6と7月調査から2ポイント上昇し、3期ぶりに改善した。今後3カ月間の見通しは企業向けがプラス3、個人向けがプラス4となり、いずれも7~9月期より悪化すると見込んだ。

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依田一義の経済情報38

日銀は平成29年度中としてきた2%の物価上昇目標の達成時期を先送りする検討に入った。日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は21日、衆院財務金融委員会で「(達成時期の)修正もあり得ると思っている」と述べ、30年度以降にずれ込む可能性を示唆した。31日から開く金融政策決定会合で議論する。

また、黒田総裁は適正な金利水準について「すぐに変更があると考えることは難しい」とも述べ、追加緩和を見送る考えも示した。

達成時期の先送りは、個人消費の低迷などで物価上昇率が日銀の想定を下回っているためだ。日銀は時期を「30年度中」もしくは「早期に」とし、事実上の中長期目標に変更する可能性がある。黒田総裁が公式に物価目標修正を示唆したのは初めて。延期を決めれば、30年4月までの総裁任期中の達成はかなわなくなる。

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依田一義の経済情報37

トヨタ自動車は21日、水素を使って走る燃料電池(FC)バスを2017年初めから販売すると発表した。FCバスの市販は日本で初めて。走行中に二酸化炭素(CO2)を排出しない環境性能や、排気音のない静かさをアピールし、20年に100台以上の販売を目指す。

FCバスは水素と酸素の化学反応で生じる電気でモーターを駆動する。搭載した高圧水素タンク10本の内容積は計600リットルで、1回の水素充填(じゅうてん)で200キロ以上を走行できる。停電時には避難所などの電源としての使用も可能だ。定員は77人で、販売価格は約1億円。東京都が2台導入し、3月頃に路線バスとして運行する予定。

トヨタは14年12月にセダン型の燃料電池車(FCV)「ミライ」を発売した。FCバスはミライの燃料電池技術などを活用し、グループの日野自動車と共同開発。18年には新型車も投入し、FCバスの普及を目指す。

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依田一義の経済情報36

日本百貨店協会が20日発表した9月の既存店売上高は、前年同月比5・0%減と7カ月連続でマイナスだった。気温が高めに推移したことや天候不順のため秋冬物が振るわなかった主力の衣料品が苦戦した。中国人を中心とした“爆買い”に陰りが見え、訪日外国人向けの売り上げも減少が続いた。

都市別ではプロ野球の優勝セールが活況だった広島が4・7%増と11カ月ぶりにプラス、同様に札幌も0・9%増と2カ月ぶりにプラスに転じた。

訪日外国人向け売上高は10・1%減と6カ月連続でマイナスだった。客数は44カ月連続で増加を続けているが、売れ筋が高額品から化粧品などの消耗品に移っているため1人あたりの単価が22・4%下落した。

会見で近内哲也専務理事は「経済の先行き不安で、節約志向や生活防衛意識の高まりが長期化している」と説明した。

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依田一義の経済情報35

中国国家統計局は19日、今年7~9月期の国内総生産(GDP)の速報値が、物価変動を除いた実質で前年同期比6・7%増となったと発表した。

成長率は今年1~3月期(6・7%増)から3期続けて同じ水準だった。横ばいにとどまったのは、インフラ(社会基盤)投資など公共部門に負うところが大きいが、輸出の不振など力強さに欠ける面も多かった。

成長率は、政府が今年の目標とする「6・5~7・0%」の範囲に、3四半期続けて収まった。

都市部の公共工事や企業の設備投資を示す1~9月期の「固定資産投資」は8・2%増と、1~6月期(9・0%増)を下回ったものの、公共投資が堅調で伸び率は高水準を維持した。国営企業の投資は21・1%増だったが、民間企業は2・5%増にとどまった。マンション建設など1~9月期の「不動産開発投資」は5・8%増と、1~6月期(6・1%増)から低下した。

1~9月期の鉱工業生産は6・0%増と、1~6月期(6・0%増)から横ばいだった。政府が鉄鋼や石炭の過剰生産設備の解消を進めていることが影響した。

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依田一義の経済情報34

欧州連合(EU)統計局は17日、9月のユーロ圏消費者物価指数速報値は前年比0.4%上昇したと発表した。上昇率は市場予想と一致した。住宅賃料やたばこ価格に加え、飲食店での価格上昇が、燃料やガス価格の下落分を相殺した。

統計局によると、飲食店での価格上昇分は0.08%ポイント、住宅賃料やたばこ価格は0.05%ポイントだったという。

前月比でも0.4%上昇し、予想と一致した。

食品・エネルギーを除くコア指数は前年比0.8%上昇、前月比0.4%上昇となり、いずれも予想と一致した。

エネルギー・食品・アルコール・たばこを除く指数は前年比0.8%上昇、前月比0.5%上昇。

エネルギー価格は前年比3.0%低下となり、低下率は8月の5.6%から鈍化した。

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依田一義の経済情報33

米ニューヨーク(NY)連銀が発表した10月のニューヨーク州製造業業況指数はマイナス6.80と、前月のマイナス2.0から低下し、5月以来の低水準をつけた。市場予想のプラス1.50も下回った。

一方、6カ月先の見通しはプラス36.0と、前月のプラス34.5から上昇、2015年4月以来の水準をつけた。

雇用指数はマイナス4.7と、前月のマイナス14.3から改善。

新規受注も前月のマイナス7.5からマイナス5.6に上昇した。

支払い価格はプラス17.0からプラス22.6に上昇、2014年9月以来の水準を記録した。

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依田一義の経済情報32

米連邦準備理事会(FRB)が17日発表した9月の鉱工業生産指数は前月比0.1%上昇と、市場予想に沿う結果となった。製造業の持ち直しを、電力・ガスの低下が打ち消した。第3・四半期の国内総生産(GDP)の伸び率は緩やかになると観測される。

8月の数字は当初発表の0.4%低下から0.5%低下に下方修正された。

第3・四半期の鉱工業生産は年率で1.8%の伸びとなり、四半期ベースでは昨年第3・四半期以来初めて上昇した。

2014年6月から15年12月にかけてのドル高と原油価格の急落は引き続き産業部門の足かせとなっている。企業が余剰在庫の削減に走り、工場に対する発注が減ったことも打撃となっている。

ナロフ・エコノミック・アドバイザーズの首席エコノミスト、ジョエル・ナロフ氏は「年初以降みられるように製造業部門が打撃を被っているような状況においては、本格的な力強い経済拡大の実現は困難だ」と指摘した。

ただ、ドル高の勢いが収まり、原油価格も安定する中、産業部門は最悪期を脱したと予想される。今月初めに実施された調査によると、9月の工業の生産が加速し、資本財の新規発注が今年6月以来初めて増加したことを示した。

JPモルガンのエコノミスト、ジェス・エッガートン氏は「ドル高や過剰在庫の悪影響が過ぎ去りつつあり、製造業セクターが緩やかなペースで成長を続ける」との見通しを示した。

9月の製造業の生産指数は9月は0.2%上昇。8月は0.5%低下だった。自動車・同部品は0.1%上昇した。

第3・四半期の製造業の生産指数は0.9%上昇だった。

鉱業は0.4%上昇、原油の抽出は減ったものの、石油・ガス田の掘削が増えた。四半期ベースでみると6期連続で低下していた鉱業の生産は、第3・四半期に3.7%上昇となり持ち直した。

電力・ガスからなる公益事業は1.0%の低下。8月は0.3%低下だった。

生産がほぼ横ばいだったことを反映して、9月の設備稼働率は前月比0.1ポイント上昇の75.4%となった。FRBは米経済に残る「緩み」を測る上で設備稼働率を注視している。

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