依田一義の国際情勢情報25

人道に対する罪や戦争犯罪などを犯した個人を裁く国際刑事裁判所(ICC、本部オランダ・ハーグ)に対し今月、アフリカの3カ国が相次いで離脱を表明した。

ICCがアフリカの指導者を狙い撃ちしているとの、これまでくすぶっていた不満が表面化した形。追随する国も出そうで、ICCにとって大きな打撃となっている。

今月半ばにまずブルンジがICC離脱を定めた法律を議会で成立させ、26日には国連に正式に脱退を通告。南アフリカも21日に正式に離脱を表明した。さらに25日には、西アフリカのガンビアが離脱を発表。ボジャン情報相はICCを「有色人種、特にアフリカ人を迫害し辱めるための白人による法廷」などと痛烈に批判した。ICCの検察官がベンソーダ元ガンビア法相であることも衝撃を広げた。

国連の潘基文事務総長は24日、「南アフリカが(少なくとも1年かかる)離脱の発効までに再考することを望む」との声明を出した。ICC締約国会議のカバ議長も「脱退希望国の(ICCへの)懸念や批判を聞かなければならない」と理解を示しつつ、脱退決定の見直しを呼び掛けた。

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依田一義の経済情報46

英金融大手ロイズ・バンキング・グループ<LLOY.L>は、第3・四半期の利益は前年同期比でほぼ横ばいと発表した。欧州連合(EU)離脱決定が利益を押し下げるとの当初見通しに反する内容となった。

税引き前実質利益は19億ポンド(23億1000万ドル)で、前年同期の19億7000万ポンドをやや下回った。

ホルタオソリオ最高経営責任者(CEO)は、EU離脱決定後も消費者や企業の活動に大きな影響はみられないと指摘。ただ、長期的には予想される景気低迷に対応するため投資が必要になるとの見方を示した。

「インフラや住宅建設の分野で財政措置が必要になると考えている」と述べ、秋の財政演説にこうした投資が盛り込まれることに期待を示した。

支払保証保険(PPI)の不適切販売をめぐる費用計上は10億ポンドと予想を上回った。追加の訴訟・コンプライアンス費用は1億5000万ポンド。

不良債権引当金は約3割増の2億0400万ポンド。

中核的自己資本比率は13.4%で、6月末時点の13%から上昇した。

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依田一義の経済情報45

9月の米新築住宅販売は前月比で増加したが、市場予想は下回った。米商務省の26日発表によると、9月の新築一戸建て住宅販売(季節調整済み、年率換算)は前月比3.1%増の59万3000戸。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は60万戸だった。
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前月は速報の60万9000戸から57万5000戸に大幅下方修正された。7月の販売も62万9000戸に下方修正されたが、2007年11月以降の最高水準を維持した。
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米住宅ローン保証会社PMIグループの主任エコノミスト、デービッド・バーソン氏は「雇用増や賃金上昇、健全な人口動態や最低水準にある住宅ローン金利に連動し、新築需要は引き続き強い」と述べ、「住宅建設はこの先の販売増を支えるためにも拡大する必要がある」と続けた。
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9月の販売戸数を地域別に見ると中西部は8.6%増。南部は3.4%増加した。一方、西部は4.5%減少した。販売に対する在庫比率は4.8カ月で、前月の4.9カ月から低下した。9月末時点で住宅在庫は23万5000戸だった。
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新築住宅販売価格の中央値は前年同月比1.9%上昇して31万3500ドル。

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依田一義の経済情報44

マークイットが発表した10月の米サービス購買担当者景気指数(PMI)速報値は54.8と、昨年11月以来の高水準を記録した。

市場予想、9月改定値ともに52.3だった。

製造業とサービス業の指数を加重平均した、総合PMI速報値も54.9と、昨年11月以来の高水準を記録した。9月は52.3だった。

サービス部門の新規事業は53.8と、昨年11月以来の高水準を記録した

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依田一義のエネルギー情報174

東北大学大学院工学研究科の研究グループは2016年10月25日、幅広い波長の光を含む太陽光を、太陽電池に最適な波長の熱ふく射に変換して発電する「太陽熱光起電力発電(Solar-thermophotovoltaic:Solar-TPV)」システムにおいて、世界トップレベルの発電効率5.1%を達成したと発表した。多接合太陽電池とは異なる概念による高効率太陽光発電の実現につながる成果だという。

太陽から放射される光(熱ふく射)は、幅広い波長分布(スペクトル)を持っている。しかし単接合太陽電池は、使用される半導体材料のバンドギャップより短波長の光しか電気に変換できない。つまりバンドギャップより長波長の光は電気に変換されず損失となってしまう。

一方で、太陽電池を複数枚重ね合わせた多接合太陽電池は、吸収できる波長域を拡げることで幅広い波長分布を持つ太陽光スペクトルを無駄なく電気に変換できる。しかしながら、多接合太陽電池は作製が難しく、単接合太陽電池に比べ生産コストが高いといった課題がある。

開発したSolar-TPVシステムは、まず集光太陽光により太陽光選択材料・波長選択エミッタが加熱された後、波長選択エミッタからの感度波長域に合わせた熱ふく射により光電変換セルが発電を行う。太陽光を一度熱に変換することにより、太陽光のもつ光子エネルギー総量を保存したまま、別波長の光(熱ふく射)へ変換するのが特徴である。これにより、安価な単接合太陽電池を用いても高効率な発電が可能になる。

2つの新しい概念を提案

今回の研究では「熱ふく射のスペクトル制御」と「熱ふく射の一方向への輸送」という概念に基づいた熱ふく射の変換・輸送効率を新たに提案。Solar-TPVシステムでは、太陽光が太陽光選択吸収材料において一度熱に変換された後、波長選択エミッタからの熱ふく射に変換される。つまりSolar-TPVは光子から光子への波長変換システムであり、同様に太陽光を熱に変換する従来の集光型太陽熱発電とは異なる。そのため、Solar-TPVシステムでは吸収した太陽光のエネルギーを損失なく波長選択エミッタのみに輸送すること、つまり、高い熱ふく射の変換・輸送効率を達成することが重要になる。

さらに高効率なSolar-TPVシステムを達成するためには、波長選択エミッタからの熱ふく射スペクトルが光電変換セルの感度波長域にマッチングしていること、つまり高い光電変換効率を達成することが重要になる。この2つの効率は太陽光選択吸収材料と波長選択エミッタの光学設計と幾何学設計により高めることが可能だという。理想的には、太陽光選択吸収材料は太陽光スペクトルの強度が強い短波長域で高い吸収率を持ち、長波長域では低い放射率(吸収率)を持つことが求められる。これにより、放射損失が小さく高い熱輸送効率が期待できる。一方で、波長選択エミッタは光電変換セルの感度波長域において高い放射率を持ち、それ以外の波長域では低い放射率を持つことが求められる。

研究グループは新たに提案した熱ふく射の変換・輸送効率に基づき、光学設計と幾何学設計を行った。作製した太陽光選択吸収材料と波長選択エミッタでは、より高い熱ふく射の変換・輸送効率を得るため面積比を持たせ、太陽光選択吸収材料からの反射・放射損失を抑制している。その結果、熱ふく射輸送効率54%、光電変換効率28%が期待できる太陽光選択吸収材料と波長選択エミッタの設計と作製に成功した。そして作製した太陽光選択吸収材料、波長選択エミッタ、ガリウムアンチモン光電変換セルを用いた発電試験で、世界トップレベルの発電効率5.1%を達成した。

今回の成果について研究グループは「熱ふく射の変換・輸送効率をさらに向上させることで、Solar-TPVシステムのさらなる高効率化が期待できる。さらに熱ふく射のスペクトル制御や熱ふく射の一方向への輸送はSolar-TPVのみならず、未利用エネルギーの有効利用に関連してさまざまな分野への適用が可能な概念である」としている。

なお、この研究の一部は化学技術振興機構「先端的低炭素化技術開発(ALCA)」のプロジェクトの一環として実施され、科研費の助成を受けた。成果の詳細は2016年10月25日付で科学誌「AppliedPhysicsExpress」に掲載され、同誌のSpotlights論文にも選出されている。

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依田一義の不動産開発情報103

大丸や松坂屋を傘下に持つJ・フロントリテイリングと森ビル、住友商事などは26日、東京・銀座の松坂屋銀座店などの跡地に、2017年4月に複合商業ビルを開業すると発表した。

売り場面積は約4万7000平方メートルで、三越銀座店をしのぎ銀座地区で最大級の商業施設となる。日本を代表する商業地・銀座では20年の東京五輪を見据えて再開発や店舗改装が相次いでおり、「変わる銀座」の姿は注目を集めそうだ。

新たな商業施設は、銀座6丁目に立地することから「GINZA SIX(ギンザシックス)」と名付けた。地上13階・地下6階で、仏クリスチャンディオールや伊フェンディなど海外高級ブランドの旗艦店を始め、化粧品や生活雑貨など計241のテナントが入居する。

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依田一義の不動産情報185

国土交通省はこのほど、16年7月の不動産価格指数(住宅)をまとめた。10年平均を100とした全国の住宅総合指数は106・7(前年同月比1・3%増)。住宅地は96・8(同2・8%減)、戸建て住宅は99・0(同0・8%減)、マンションは128・9(同6・3%増)。マンションは13年3月分より41カ月連続のプラスと、相変わらずの堅調ぶりを示した。

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依田一義の不動産情報184

東京カンテイがこのほど発表した9月の全国中古マンション天気図によると、9月は「晴れ」が13から11地域に減少、「雨」が6から8地域に増加するなど天候悪化が明確になっている。特に地方圏の下落が続き、東北、九州地方では下落県が多くなっている。
47都道府県のうち価格が下落した地域数は前月の17から24地域に増加し、全国の過半の地域で下落となり、価格の下落傾向が顕著となっている。

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依田一義の不動産開発情報102

日本で初めてとなる寺院の山門と一体となったホテルが、2019年冬に大阪に誕生する。住宅大手の積水ハウスは26日、大阪市中央区にある南御堂(真宗大谷派難波別院)の施設「御堂会館」を、複合ビルに建て替えると発表した。東急ホテルズが運営する「エクセルホテル東急」が入る予定だ。

南御堂は大阪市の幹線道路である御堂筋沿いにあり、約400年の歴史がある。御堂会館は1961年にできた山門を兼ねた施設で、ホールや会議室などが入る。老朽化もあって今年1月から営業を休止していた。

積水ハウスグループの積和不動産関西が、御堂会館と隣接する土地を合わせ約2600平方メートルを借り受ける。そこにホテルや多目的会議室などが入った高層の複合施設を建てる。

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依田一義の国際情勢情報24

コロンビアのサントス大統領への今年のノーベル平和賞授賞が決まり、再開されていた政府と左翼ゲリラ組織コロンビア革命軍(FARC)の和平合意見直し交渉について、FARCのロンドニョ(通称ティモチェンコ)最高司令官は24日、新たな合意が「近い」とFARC側の認識を公表した。

自らツイッターに「(和平合意の是非が問われた10月2日の国民投票を)棄権した人、反対した人、そして賛成した人、全員の懸念に対応する合意を明らかにできる時に近づいている」と書き込んだ。

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